蛹化、遺失につき

凛と凪ぎ、訪れる
鐘の音 一つ
廃れ果つ 聖堂にて
神の名さえ吹き消した

祈り縋る者に蒼の卑が舞う
愚かしさすら感じ 不様と映るのに
蔑む眼の中で矛盾が交う
依存を抱いて耽る事など出来ぬのに 嗚呼

「人は選ぶ事を放棄したがる生き物。
選択とその責任を放棄すればきっと楽だからだろう。
何かに依存し、縋り、櫂を預ける。
放棄を信仰と呼ぶ事、其れは赤い髪の女には酷く賤しく映った。
だが其れは同時に羨望の対象とも成り得た。
そして成り得たとて、自分には出来ぬ歯痒さを知る。
感情は枯れて、笑みも怒りも哀しみも楽しさも抑揚無く過ぎ去ってゆく。
何処で違う生き物と成り果てたのか、自問も自責も終わることはない」

 

燭台に影が射す
過去の絵 啼く
身を窶し、燃え尽きた
蝋と花 何故?今も未だ……

翔べぬ蛹の中、想いが舞う
翅も畳んだ儘で 心も置き忘れ
声にならぬ声が己に問う
人で在るが所以も失くした 彷徨い人

“教義に憑かれた違背の姿で業は溺るる”
“想像は何時も現実に裂かれ脳内で傲る”