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爪弾​

何者かの手によって絶たれし最早馴染めぬ光に同化しきった私は座敷牢の闇を飛び今でも嘖む

待ち人来らず、所以も解らず
臍窩の奥へ置去りの普遍が故、慣習は幼子を鬼子せしめんと欲す
嗣子たらんと願わば、異形の所業は矛盾の色彩を深むる
遂に七つの誕辰、恥部と籠め据う蔵の底

破瓜を迎わば罌粟一粒ほどの希望と記憶に刷り込まれた私はきっと今でも苛む

雛草香る 胸に
糜爛の蜘蛛は涌きて絵図
跼めば底と散らむ
常しえへの獄と怖じて

四角い嵌め殺しの空、埃にまみれた朔望が廻る
落涙の跡すら冷たく浸み込み、幼き目には生も死も等価値の背中

今日も変わらぬ天井、暗澹の空は嘆きか安寧か
隙間より舞い落ちし、たった一片の芝桜のみぞ季節を宣るや
何度目の脳裏の痛み、漆喰には血塗ろの指
闇色の翅、闇色の土、出で入る蚯蚓に成らんと願う

雛草香る 胸に
悲願の雲は厭きて得ず
手薬煉は「其所」と、知らず
常世の紫衣を御供と応じて

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