
過去上演 演目

「死んだ様に生きるか?生きるために死ぬか?」

赤い髪の女はこの枯れ朽ちた地で
出自故に不可避な選択を迫られる
真っ当に生きることも真っ当に死ぬことも出来ずに
ただただ空虚に時は流れ彷徨う

双極の女は因果応報の輪に囚われ
恩讐の道の途中で降り注いだ罪を
自らもまた繰り返す
悲劇で歪んだのは自分と気付かないまま
第四の世界が終わりを迎え、その終幕に瓶一杯の灰が降り注ぐ時
人と人との繋がりもまた霧散する
大地は枯れ
文明は朽ち
水は汚れ果て
仄暗い灰は空を支配する
大陸の強国は互いを破壊し尽くし灰燼と帰した
生き残った人々は救いを求め新たなる社会を模索、割拠していた
ある者は文明賛美と秩序を
またある者は精霊信仰と混沌を

黒い羽の男は宿命のもう一つの形を映し出す
信じた正義は一つの断面に過ぎず
それ故の災禍に絶望し、諦観の峡谷に突き落とされ
あの日と変わらぬ空を見上げながら
鈍色の犬は異端の心を否定され
狭い箱に閉じ込められた様な心を徐々に狂わす
何一つ願いなど叶うことはなく
孤独からの救いを錯覚と刷り込みに求める

善悪正否の選択の果てにあるのは虚無か、或いは解放か-
生識智死
